分取精製装置を使用しています。右下の 充填剤がつまった 筒(カラム)に溶媒に溶かした 反応混合物を流します。化合物によって充填剤への吸着力 が異なることを利用して分離を行い、目的物を取り出します。
NMR( Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)装置を使用しているところ。 この装置によって化合物 の分子構造を原子レベルで解析することができます。
分液ロートを用いて、有機化合物を水と分離して有機溶媒中に抽出しているところ。

動植物の遺伝子に関して深く学びたいと考えて高校卒業後、九州大学農学部に入学しました。

学部ではバイオ系のコースに進みましたが、講義や実習を通じて「有機合成化学」に強い興味を持ったことから、九州大学大学院への進学を機に専攻を変更して総合理工学府に進みました。

大学院では分子の構造や性質に関する研究を進める中で自らデザインした分子の合成や、新反応の開発に携わりました。また、研究成果を学術論文に投稿したり、学会発表したりするなど、充実した研究者生活を送ることが出来ました。博士号を取得後は学んだ知識や技術を活かして人々の生活の役に立つ仕事がしたいと考えて、農薬メーカーに就職し、現在、研究職として働いています。


現在は新しい農薬の開発に携わり、具体的には農薬の候補となりそうな化合物の構造に独自のアイデアを加えることによって、新しい化合物をデザインし、実際にそれを合成しています。得られた化合物は社内で生物活性を評価し、その結果から次に合成する化合物を再設計します。このサイクルを繰り返すことによって、農薬となる化合物を生み出すことを目標に、日々研究を進めています。優れた農薬を生み出すためには、合成する化合物に農薬としての高い効果が求められるだけでなく、安全性の確保や安価に製造することなど多くの課題に対して配慮する必要があります。実験が上手く行かず苦労することもありますが、世界の食糧増産に貢献できるやりがいのある仕事です。


益田高校では、大学の講義の受講や、公的及び民間の研究施設の見学など、地方にいながらも最先端の科学技術に触れる機会を多く与えて頂きました。そのような経験を通じて研究者への憧れを抱き、研究職を目指すきっかけになりました。

また、課題研究では先生方にご指導頂きながら、自分で設定したテーマについて実際に実験や調査を行い、結果をまとめて発表する機会がありました。この活動を通して、身の回りの科学現象に疑問を持ち、研究のアイデアを生み出す力や学生同士で協力して研究を遂行する能力、また、プレゼンテーション能力等の力が身に付きました。SSHでの経験が、後に大学や企業で研究を行う上での下地になったと考えています。