創立110周年記念式典 式辞抜粋(R3.9.2)

本校は、百十年前の明治四十五年四月に創設された益田町立女子技芸学校を前身として、益田尋常高等小学校の一部を校舎として開校いたしました。その校風は良妻賢母の育成を目指しつつも、誇り高き地域の才媛が集う学校であったと記録されています。以来、校名を変えること八回、現在の地には昭和四年に移っており、周辺には蓮田が沢山あったと伝え聞いております。戦前は当地域の女子教育を担う高等学校として、戦後は学制改革により男女共学の島根県立益田高等学校として今日に至っております。この間、町立から県立への移管、益田農林高等学校との統合、昭和二十八年に島根県立益田産業高等学校と分離し普通科設置、そして昭和四十五年の理数科設置、校舎全面改築など幾多の変遷を経て、本日を迎えております。

「歌の聖と畫の聖、ふたり眠れりこの郷に、七尾山下の我が校舎」と校歌に歌われていますように、益田七尾山麓に位置する本校が歩んでまいりましたこの百十年の校史を顧みます時、明治、大正、昭和、平成、そして令和という変化の激しい時代の中にあっても、その時代の要請に即応しつつ、輝かしい伝統と立派な校風のもと、地域の教育や文化の中心として、豊かな郷土の発展に重要な役割を担ってまいりました。これまでの卒業生は一万九千有余名に上りますが、各分野に有為な人材を多数輩出し、後期中等教育機関しての役割をしっかりと受け継ぎ、果たしてまいりました。諸処の変転の中にあって、脈々と受け継がれてきた輝かしい歴史とそれを支えられた先人の尊い汗と熱意に、改めて心から敬意と感謝の意を捧げるものであります。

現在の本校の教育目標は、新しい時代、令和になりましても変わることなく、『主体的に物事に取り組み、様々な他者とのつながりを通して自らを高め、未来を切り拓くことのできる生徒を育てる』であります。『伸びる 伸ばす』を合い言葉として、『文武両道』を常に意識し、学業、部活動、探究活動等あらゆる面において、『自立した人間』となるべく『不抜・不濁』の精神の育成を図っています。自己の可能性に線と引くことなく挑戦・チャレンジしていくとともに、「凡事徹底」を意識しながら「時を守り、場を清め、礼を正す」ことを心掛け、「心の偏差値を高める」ことにより豊かな人間力の育成を目指しております。

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