東京大学
理学系研究科
博士2年

石川 弘樹 さん

  • カナダ・ロイヤルティレル博物館にて
    骨格標本を作るため、エミューの解体を行っている様子
    発掘作業の様子
    アメリカ・ユタ自然史博物館にて

    私は、もともと恐竜に興味があり、現在は東京大学・大学院で恐竜に関わる研究をしています。「恐竜」と言えば化石のイメージがあるかもしれませんが、実は化石を調べただけでは絶滅した生物のことはよくわかりません。
    たとえば、ほとんどの化石では骨や歯などの硬い組織以外は腐ってしまって残っておらず、生態の観察もできません。化石を生物として見るためには、今生きている生物を観察し、化石と比較することが必要です。

    恐竜の生き残りである鳥は、絶滅した恐竜たちの生きていたころの姿を知るうえで重要な手がかりになります。私は、化石の観察と並行し、現生の鳥を調べることで絶滅した恐竜たちの分類や生態の推定に役立てたいと考えています。

    高校時代は理数科に所属しており、地学系のテーマで課題研究を行っていました。知識も手法も限られている中で工夫を凝らしたり、発表でダメ出しされたりした経験はかなり記憶に残っており、研究のみならず長期的にプラスになる経験だと思います。また、SSHの活動の一環として大学訪問をさせていただいたり、課題研究に関連した学会にも参加させていただいたりしたのですが、世界の広さにただ圧倒されていた印象があります。

    今思えばそんなのは序の口で、実際にはもっとずっと広いのですが、少しでも高校よりも先に何があるかを垣間見る経験があるのとないのとでは現実感がまるでちがいますし、身の入りようも変わってくるのではないかと思います。

慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
博士1年

福満 和 さん

  •  顕微鏡でHepG2細胞(肝臓がんの細胞)がどのくらい増殖しているかを確認している。
    電動ピペッターを使ってHepG2細胞を新しい培地に移している。
    自動セルカウンターを使ってHepG2細胞を数えるためのサンプルをつくっている。

    私は益田高校を卒業後、慶應義塾大学環境情報学部に入学しました。

    そして今年の3月に慶應義塾大学環境情報学部を卒業して、現在、慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科の1年生です。大学は東京にありますが、今は山形県鶴岡市にある先端生命科学研究所で研究を行っています。

    生物の体の中で作り出されたアミノ酸や糖、脂質などの代謝物質(メタボライト)をまとめて定量的に測定し解析できるメタボローム解析装置を用いた研究をしています。メタボローム解析を行うと唾液からはすい臓がん、乳がん、口腔がん、血液からは肝臓がんなどの9種類の肝臓疾患を、短時間かつ高い精度で診断することができます。

    私はこのメタボローム解析装置を使ってがん細胞の細胞株とジペプチドの関係を研究しています。

    高校時代のSSHでの活動で役に立っているのは、どのように研究に向き合うのか、どのような順序で研究を進めていくのかを考え、そして体験できたことです。研究の目標を決め、時間を逆算していつまでに何をしなければならないか計画を立てます。

    次に仮説を立て、実験と考察を繰り返すことで、少しずつ結論に近づいていくことができます。

    またコンテストや学会で発表する機会が多くあり、発表をする技術を高めることができました。

    発表を行うためのPowerPointやポスターの作成、発表原稿の作成、実際の発表の場で自分が相手へ伝えたいことをしっかり伝えるスキルや質問の受け答えのスキルなどは何度も繰り返すことで上達していきます。SSHでの活動を通して学んだことは大学で研究をする際にも非常に役立っています。

  • 分取精製装置を使用しています。右下の 充填剤がつまった 筒(カラム)に溶媒に溶かした 反応混合物を流します。化合物によって充填剤への吸着力 が異なることを利用して分離を行い、目的物を取り出します。
    分液ロートを用いて、有機化合物を水と分離して有機溶媒中に抽出しているところ。
    NMR( Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)装置を使用しているところ。 この装置によって化合物 の分子構造を原子レベルで解析することができます。

    動植物の遺伝子に関して深く学びたいと考えて高校卒業後、九州大学農学部に入学しました。

    学部ではバイオ系のコースに進みましたが、講義や実習を通じて「有機合成化学」に強い興味を持ったことから、九州大学大学院への進学を機に専攻を変更して総合理工学府に進みました。

    大学院では分子の構造や性質に関する研究を進める中で自らデザインした分子の合成や、新反応の開発に携わりました。また、研究成果を学術論文に投稿したり、学会発表したりするなど、充実した研究者生活を送ることが出来ました。博士号を取得後は学んだ知識や技術を活かして人々の生活の役に立つ仕事がしたいと考えて、農薬メーカーに就職し、現在、研究職として働いています。

    現在は新しい農薬の開発に携わり、具体的には農薬の候補となりそうな化合物の構造に独自のアイデアを加えることによって、新しい化合物をデザインし、実際にそれを合成しています。得られた化合物は社内で生物活性を評価し、その結果から次に合成する化合物を再設計します。このサイクルを繰り返すことによって、農薬となる化合物を生み出すことを目標に、日々研究を進めています。優れた農薬を生み出すためには、合成する化合物に農薬としての高い効果が求められるだけでなく、安全性の確保や安価に製造することなど多くの課題に対して配慮する必要があります。実験が上手く行かず苦労することもありますが、世界の食糧増産に貢献できるやりがいのある仕事です。

    益田高校では、大学の講義の受講や、公的及び民間の研究施設の見学など、地方にいながらも最先端の科学技術に触れる機会を多く与えて頂きました。そのような経験を通じて研究者への憧れを抱き、研究職を目指すきっかけになりました。

    また、課題研究では先生方にご指導頂きながら、自分で設定したテーマについて実際に実験や調査を行い、結果をまとめて発表する機会がありました。この活動を通して、身の回りの科学現象に疑問を持ち、研究のアイデアを生み出す力や学生同士で協力して研究を遂行する能力、また、プレゼンテーション能力等の力が身に付きました。SSHでの経験が、後に大学や企業で研究を行う上での下地になったと考えています。